白馬の王子は待ちません

落ち着かれたみたいですね?

日向さんが、微笑んでる。

あ…はい。

緊張は、だいぶ落ち着いたけど…
違うドキドキが生まれたことを、
伝えるわけにはいかないし。

では、フリーの残り時間。
有効にお使いください。
ヒカルさんなら、嫌がる男性はいませんよ。


また微笑まれて。

できるなら、このまま話していたいけど…
日向さんも困るよね…。


わかりました。勇気出して行ってみます。

よくできましたと、言わんばかりに
ニコニコ笑っている。

はい。頑張って…。
では。


別のスタッフの方へ歩いて行った姿を
見送って。


爽やかに…送り出されちゃった。
脈なしってとこだよね。
そりゃそうか…
あたしのお世話は、お仕事だもんね…。


チラッとまた日向さんが、振り返って。
少し心配そうに見てるのがわかった。

このままいたら、また仕事の邪魔を
してしまう…。

ガンバリマス…の意味を込めて、
うなずいてみせて。


それからは、前より緊張しないで色んな人と
話ができた。
最初ほど、焦りが無くなったからかな…。


時々、日向さんを目で探してしまって。
たまに目が合うと、嬉しくて。

自然に、周りの人と話す時も笑顔になれた。


そのおかげか…



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