白馬の王子は待ちません
電話
興奮状態のヒカル。
すごく嬉しそう…。
素直で、可愛らしいヒカルに想われて、
コウキも…嬉しいよね。
よかったね。ヒカル。
じゃあ…帰って連絡待ったほうがいいね。
え?うん…。
頬を染めるヒカルがまぶしい。
あ、ちいちゃんたちはもう交換したんだよね?
ヒカルの視線が、あたしの後ろに向かう。
あ…。
振り向くと、穏やかな笑顔のまま、
忘れてましたね。と、あたしを見つめる。
そうでした…。えっと、これ。
あたしがメモを渡すと、同じようにメモを
差し出して。
話したくなったら、いつでもどうぞ。
待ってますから。
と、少し寂しげに微笑んだ。
それ以上は、言わなくてもわかる。
この人は、きっとわかってる。
見つめ合うあたしたちを見て、ヒカルが
羨ましそうな声を出す。
いいなぁ。2人ともいい感じ。
ニコニコ笑うヒカルに、曖昧に微笑みながら
佐久間さんとはそこで別れた。
ヒカルとも別れて、家に帰り。
急いでコウキに電話をかけた。
間に合う?…何が?ああ、もう。
呼び出し音が鳴り続ける。
まだ、仕事中か…。
あきらめて、メッセージを打つ。
コウキ、仕事が終わったら電話して。
誰よりも早く、一番に電話して。
待って…
打ち終える前に、電話が鳴った。
コウキだ…。