白馬の王子は待ちません
あたしね。
たぶん、わかってたんだと思う。
だから、こんな焦ったんだろうな…。
ごめんね、ヒカル。
そんなこと!
ちいちゃん…あたし…。
あたしは大丈夫だよ。
なんだか、スッキリした。
でも…。
コウキ、ヒカルに声かけたのは
スタッフだから?
え?
あ…それは…そりゃそうでしょうよ。
誤魔化しようがないくらいに、動揺してるのが
わかって。
ほら、ヒカル。
この人は、最初から…
ヒカルが気になってたんだよ。
スタッフの立場利用しちゃってさー
やだねぇ。悪いやつ。
笑うあたしに、コウキがふくれる。
いや、俺だって…最初はスタッフとして
だったよ?ほんとだよ?
ああいう場に馴染めない人も、たまには
いるからさ。
言い訳すればするほど、ボロが出る。
最近はだって。ヒカル。
え?えーと…それは…
戸惑いながらも、赤くなるヒカルを見て
コウキも苦笑いして。
観念したように、認めた。
わかったよ。俺はずるかったよな?
一応、パーティーが始まったら
テーブルを回りながら様子見るんだけど。
不器用そうに、慣れてない感出しながらも、
一生懸命だなあと思ってたら、
泣きそうな顔して落ち込んでるし。
俺は、スタッフだからさ。
心配だし。
声かけてみようかなと思ってたら…
遠くからヒカルさんを見つけて、歩いてくる
人がいて。