白馬の王子は待ちません

ヤバい。と、思ったら、声かけてたんだよな。


参加者の誰かに見初められてたなら…
やばくないでしょうが!

笑ってつっこむと、

だよなぁ…。と、シュンとしている。

もう、どうとでもなれとばかりに
素直に喋り始めたコウキが、可愛くさえある。

こんなとこ、あったんだ。
大人っぽいイメージだったんだけど…
やっぱり、あたしは…コウキのこと
あまり見てなかったのかもしれない。


ヒカル。
会場で、電話番号下さいって言われてたよね?
あの人はどうするの?

え?
え⁉︎


丁寧に断ってたの、知ってるけどね。

ヒカルと、コウキが同時に驚くのを見たら
最後の小さい意地悪で、気が済んだ。


じゃ、そういう話は、あたしが帰ってからに
してもらおうかな。
と、席を立つと。


ちいちゃん!

ヒカルは、とっさにあたしの手を掴んだ。

そっと手を重ねて、ヒカルを見る。
不安げな顔をしてる。
チラッとコウキを見ると、笑えるほど
同じような顔をしてる。

大丈夫。あたしのことは、心配いらない。
よく話し合って、2人の未来を作っていけば
いいよ。

コウキ、ヒカルをよろしくね。
泣かせないでよ?

笑うあたしを、じっと見てうなずき。
コウキは静かに言った。

ありがとう。千恵…。

1つ、怒らないで聞いてもらえるか?

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