白馬の王子は待ちません


帰って、1人の部屋でずっと座っていると
電話が鳴った。


見ると…
くまさんだ。


千恵さん?佐久間です。家ですか?
と、明るい声。


コウキに…聞いたんですか?


今日、3人で話すってことは聞いてました。


コウキの答えも?


ヒカルさんが好きだと気がついたと。
…言ってました。


改めて聞くと、傷つくんですけど。


あ…すみません…。


黙ってるあたしに、慌てたように

え?千恵さん?怒っちゃいました!?
もしかして…泣いてるとか…?
千恵さん!?


ちょっとだけ…可哀想になってきた。


怒ってないし、泣いてませんよ。
なんだか、すっかりコウキとくまさんの
手のひらで転がされたような気もしますけど。


返事をしたので、一瞬ホッとして。
あたしの言葉に、また慌てだす。

わかりやすい…。
気がつくと笑ってる自分に、驚いた。


くまさん。
コウキからも聞きました。
頼まれてパーティーに参加したって。
あたしのことも、聞いてなかったって。


あ!そうなんです!
信じられないかもしれませんが…
本当に知らなかったんですよ!


必死に訴えるくまさんが、かわいくて。
少し甘えてみたくなった。


くまさん。
少なからず、あたしはまだ傷ついてます。


はい…。


癒してくれませんか?


え?
は、はい!!それはもう。…喜んで。


心から嬉しそうな声で、あたしの心も
あったかくなる。


結婚は…愛情だけじゃ
たどり着けないかも知れないけど。

愛情の延長にしか…結婚は見えてこないはず。

まずは、くまさんと恋をしよう。






コウキたちは、最初から息子くんを交えて
愛情を深めていって、次の年には結婚。


あたしが…
くまさんファミリーになるのは、
それから1年後の話…です。



La Fin


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