白馬の王子は待ちません
一回り、顔合わせが済んで
フリーの時間まで、休憩になった。
トイレは、お化粧直しの子たちで長蛇の列。
ヒカル…どうしてるかな?と、
探してると、
あの、千恵さん…でしたよね?
と、後ろから声がした。
え?
振り向くと、さっき話した男の人だった。
…でも、名前は思い出せない。
と言うか、覚えようとしてなかった…かも。
後で、フリーの時お話したいんですが
いいですか?
あ…そういうことか。
丁寧な話し方が、警戒度を下げる。
はい。後で…よろしくお願いします。
ほっとしたように、ありがとうございます!
と、笑う顔が幼く見えた。
じゃあ、休憩後に!と、去って行く後ろ姿を
見てたら、
ちいちゃん…!と、泣きそうな顔を
したヒカルに声をかけられた。
わ!ヒカル、どうした?
とりあえず、こっち!
ヒカルを連れてトイレに向かうと、
すでに並んでる子は少しだった。
並びながら、小声で話しを聞くと、
ちいちゃん…あたし全然ダメかも。
一緒のテーブルの子、みんな若くてね。
男の人たち、あたしのことなんて
全然見てないんだよ…ひどくない?!
悲しそうだった顔が、だんだんムッとした
顔になってる。
あたしたちは、若くはないけど…
みんな、探してるのは、ただの恋人と違って
結婚相手なんだから。
中身で勝負しないとね!まだまだこれから!
ヒカルの良さは、あたしが保証するよ?