キンダーガーテン三   ~それぞれの居場所に~
「唯先生、啓君がブロッコリーを食べれないって言うんですけど…
残しても良いですか?」

実習生の尚人先生は、子供のいいなり。

言われることを、全部叶えようと頑張る優しい先生なんだけど……

何でも聞いてくれると思った子供達は、言いたい放題。

ここは幼稚園だから、優しさとは別に……厳しさも必要なの。

「あっ、だったら代わるね。
啓君、これ………何だと思う?」

「………………ブロッコリー。」

「うん、ブロッコリーだね。
でも……こうやったら、『木』に見えない?」

そういうと、ブロッコリーを3つに切って

弁当箱の角に立て掛けた。

「見える!!」

「だったら、これから……先生が強いウルトラマンに変身させるよ。
ちちんぷいぷいのプイ!!
ホラッ!!」

そう言って頭を撫でると

「強いウルトラマンなら、こんな小さな木なんて………
ペロリと食べれるよ。」と声をかけた。

パクっ。

「あっ!!食べられる!」

「ホントだ。啓君、えらいね。」

パクパク!!

結局、全部食べた啓君。

「スゴい!!今日はママにお手紙かいておくね。
啓君も教えてあげて。」

そういうと、嬉しそうに

「僕、食べれたぁ!」とみんなに自慢してたの。

可愛い。

「唯先生、スゴいです。」と目をキラキラさせて、こちらを見る尚人先生。

褒められて悪い気はしないけど……

ちゃんと自分のものになってるのかな??

メモを全く取らない彼に、不安を覚える。

今日の反省会で、聞いてみよう!
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