キンダーガーテン三   ~それぞれの居場所に~
「唯先生~教えて~」

「唯先生、これは?」

「唯先生………どうしよう。」

あれから2週間。

尚人先生を1週間受け持った後は、女の子の実習生。

……………のはずが、何故だか担当していない先生達にもなつかれて………

気づくと色んな先生達に声をかけられる羽目に。

「またまたモテちゃってますねぇ~」

「旦那は大丈夫??」

「自分の仕事が終わらず、持ち帰って来るからゆっくり出来ない!って
ぼやいてたよ。」

3人の楽しそうなからかいを聞きながら、実習生のレポートに目を通す。

今までだったら彩ちゃんが庇ってくれてたんだけど………

洋介さんとお付き合いを始めてからは

自分の仕事をさっさと終わらせて、急いで帰っちゃうから………

助けてくれる人がいないの。

彩ちゃんが幸せそうなのは、とっても嬉しいんだけどね。

………とは言うものの、正直………本当に困ってるの。

頼って貰えるのは嬉しいし

先生も頑張る唯を応援してくれるから……二人の間は順調なんだけど………

「唯先生、明日の半日実習………粘土遊びにしようかな?って思うんですけど……
何か良いアイデアないですか?」って

直ぐに答えを聞こうとする子が多いのに、びっくりしてしまう。

「あるにはあるけど……。
今はそれを勉強しに来てるでしょう?
聞いてしまったら、意味がないって思うの。
出来るだけ自分で考えた方がいいかな?
あっ、でも本は貸すからね。
色々調べて、分からないことがあったら何でも聞いてね。」と答えてるんだけど……

質問してくる子が、後をたたないの。

まだまだ自分のことで手一杯の唯だから………

担当の子を把握して、指導するだけで大変なのに

色々な質問に応えれるよう自分もいっぱい本を読んで

勉強しておかないといけなくって………。

クラス運営と実習生と勉強と自分の仕事で……

もうヘトヘトなの。

でもね、

今回は、先生が『弱音を吐きなさい。』とか『ほっておいたら良いよ。』って

言わないから

多分………『ガンバレ!』ってことなんだと思うの。

だから………出来る限り頑張ってみるんだ!
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