キンダーガーテン三   ~それぞれの居場所に~
「伊藤唯です。年少組は2年目ですが…………
まだまだ分からないことだらけで…………毎日バタバタしてます。
落ち着かないクラスですが、みんなとっても可愛いくて
明るい子供達なので…………よろしくお願いします。」

ニッコリ笑って、ペコリと頭を下げると………

「本田恭子です。
もう少しで30歳のおばちゃんだけど、年少さんのパワーについて行けるよう
頑張ります。色々教えてくださいね。」と同じように頭を下げて挨拶してくれた。

本当に優しそうな先生だなぁ~

笑顔も素敵だし、いっぱいお手本にして勉強しようっと!

7時半………みんなで朝の掃除を済ませて、子供達を迎える準備をする。

朝の門前の当番の唯は、咲ちゃんと咲ちゃんのクラスの実習生さんに

うちのクラスも覗いてくれるように頼んで

恭子先生と一緒に門前に急ぐ。

朝の時間は、お勤めに行く保護者にとって貴重な時間。

さっさと子供を預かり、簡単なチェックを済ませて送り出せるかが

大切になってくる。

パッと見て怪我が無いか、あったら保護者に確認して

登園してきた時に出来ていたことを認識してもらう。

他にも……ぐずったり、元気がなかったら

お家での様子を聞いて、温かいと『熱があったら連絡します』と伝える。

忙しい保護者は、どうしても預けたい一心で……気づかないふりをする人もいるの。

仕方のないことだけど、命を預かる以上

しっかりチェックして、大事にならないように努めないといけない。

門前の担当は、明るく挨拶をして一日を楽しく迎えるお手伝いをするのと同じくらい

このチェックも大切な仕事なのだ。

恭子先生にも、知ってるかもしれないけど……

一応伝えて一緒に門前担当をしてもらう。

「左右の道から登園してくるので、先生には右側を担当してもらっても
良いですか?」と聞くと

「左側でも良いですか?」と逆に聞き返された。

別にどっちでも良いんだけど………

左側が良いっていうのが……ちょっとだけ引っかかった。


< 104 / 149 >

この作品をシェア

pagetop