キンダーガーテン三   ~それぞれの居場所に~
………………………やっぱり、話すべきだよね??

結局、お昼過ぎに熱が上がった沙羅ちゃん。

担任が直ぐにお父さんに連絡を入れたけど……繋がらない。

そりゃあそうだよね。

だって、恭子先生が『私が連れて帰ります』って言ったんだもん。

左側担当をした恭子先生に先生が

『ちゃんと連絡がつくように、伝えましたか?』と聞くと………

「伝えましたけど……『今日は会議があるから……出れなかったら……すみません。』と
おっしゃってました。」と………ウソを話してた。

先生も「父子家庭になったばかりだからなぁ~」って……呟きながら帰って行く。

沙羅ちゃんパパと恭子先生が、どんな会話をしていても………別にいいんだよ。

ただ、熱が高い沙羅ちゃんが………大人の都合で

病院にも行けないで苦しんでいるのが………辛いの。

やっぱり先生に話そう!!

そう思って、部屋を出ようとしたら

「唯先生、何処に行かれるんですか?
今は保育中ですよ。
担任が子供たちを残して、部屋を離れるのは危険だし
許されないことですよ!」って……

そんなこと………分かってるもん。

でも今は、恭子先生がいるじゃない。

そう思って先生を見ると

「まさか、実習生の私がいるから大丈夫!って思っています?
私はしょせん、実習生ですよ。
責任はないんですよ。
先生は人気者だし、みんなから守られてちやほやされてるけど……
プロではないですね。
クラスの子が守れない先生は………先生に向いてないですよ!」って………。

悔しいけど……言い返せない。

沙羅ちゃんは大切な園児の一人だけど………

それでクラスを残して行くのが正しいとは言えない。

黙り込む唯に
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