キンダーガーテン三   ~それぞれの居場所に~
1・2・3・4……………11。

何で???

11人って………誰がこんなに呼んだの???

今日は…………週末ではなく…………月曜日。

週の始まりにこの人数は………キツイ。

確かに、恭子先生のことで咲ちゃんが『集まる』とは言ったけど………

それって………幼稚園のメンバーじゃないの???

咲ちゃんと航君までは、仕方ないって思っているの。

でも………

洋介さんや尋ちゃん、和也さんは………関係無いんだけど。

この大所帯に、いくらご飯を作っても………

片っぱしから食べてしまう。

「唯ちゃん、大丈夫?
つまみも持って来てるし、ある程度作ったら一緒に食べよう。」

優しい先生は、そう言って迎えに来てくれる。

「うん。」

エプロンを外してリビングに行くと

「唯ちゃんお帰り。」

「美味しく頂いてます」

「こっちにおいで!」と

口々に、賑やかな声がする。

「先ずは、梓ちゃんの婚約おめでとう!!」

「アズ、おめでとう!」

「「おめでとうございます」」

「ねっ!指輪持って来た??」

「キャー!おっきい!」

「何てプロポーズされたの??」

「ねっねっ!!何処で?どこで?」

あっ!そうかぁ。

梓ちゃんの婚約おめでとうパーティーなんだぁ!

それでみんな集まったんだねぇ~

だったらもっと色々用意したのに…………

有り合わせだから、大したおかずがないよ………。

散々盛り上がったところで…………

「次のお祝いは……。
彩と洋介さんのお付き合い始めましたパーティー!!」

………って海晴ちゃん………ちょっと強引なネーミングだよ?

でも……そうだよね。

彩ちゃんは……先生のことで色々あって………

今、幸せそうに笑ってるのが……本当に嬉しい。

「洋ちゃん、頑張ったね~」

「彩が先生を好きって言った時、もう無理だ!!って思ったもん。」

「ちょっと、もう言わないで~あれは最悪だったんだから~
でも……私が先生のこと片思いしてるって……
結構早くから洋ちゃんは、知ってたんだって。
誰にもバレてないって思ったのに……。」

「私だって1年以上前から、気づいてたよ。」って海晴ちゃん。

さすがだなぁ~

「でも…洋ちゃんって……どうしてライバルの先生と仲良くなったの??」

「そう!!それそれ。
みんな不思議だったんだよね~」って梓ちゃん。

そう言えば………そうだよね??

唯はあまり気にならなかったけど……………そうだよね!!

急に興味が湧いて、話しの答えが気になった。

「最初、アルバイトしてた時に……彩が悠人が来たら
滅茶苦茶テンションが高くて、直ぐに気づいたよ。
それからは、客で来てもお袋か彩に対応させて。」

「洋ちゃん、ひど!!
それで、俺が店に行っても誰も出ない時があったんだぁ」

「そうそう、お袋が喋っていない時はね!
ムカつく奴って思ったんだ。彩が泣いてたし。」

「えっ!!先生って……唯ちゃんだけじゃなく、彩まで泣かしてたの???」

「違うよぅ。洋ちゃん、悪ふざけはダメだよ。
仕事が上手くいかなくて泣いてたの。
洋ちゃんが勝手に思っただけだよ。」って彩ちゃん…。

でも……本当は、先生のことで泣いてたんだと思う。

だって洋介さんが『何で俺じゃないんだろう?俺なら泣かさないのに』って言ってたから。

まさか、彩ちゃんの想い人が先生だとは思わなかったけど。

「なのに、俺の気持ちを知らない悠人は
『美味しいパンですね!はまっちゃいました。』って
可愛い笑顔で話すから………俺が悠人にはまっちゃいました。」

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