キンダーガーテン三   ~それぞれの居場所に~
待ってました!とばかりの咲ちゃん。

「私が異変に気づいたのは、うさぎ組の扉が『バタン!!』って……
スッゴい勢いで閉まった時。
子供が閉めたと思って部屋に行ったら、本田先生が凄い剣幕で出て行ってたの。
何かあるな!!って思ったけど、あえて気づかないふりをしてたら
子供たちが『悪い魔女から唯先生を守った!!』って
森先生を見て言ったから……今日はみんなに集まってもらったんです。
ね!絶対に面白い話しが待ってるでしょう??」って……。

やっぱり咲ちゃん発信だったんだぁ。

直ぐに食いついてきたのは、いつもの3人。

「先生は、どうして本田先生が魔女だって気づいたの??」って夏苗ちゃん。

「今度はどうやって、唯ちゃんのヒーローになったの?」って海晴ちゃん。

「もしかして……私が言った、沙羅ちゃんのひいきと関係ある??」って梓ちゃん。

「「「沙羅ちゃん??」」」って……

さすが教育者がほとんどの集まりだけあって………

子供が絡んでいたことに……少しトーンが下がった。

口を開く先生は………

「個人のプライベートが関わることだから、面白がるのは控えて欲しい。」と伝えて。

沙羅ちゃんのお家が最近離婚したこと

梓ちゃんが沙羅ちゃんへのひいきが酷くて相談したこと

今朝の門前当番の様子、沙羅ちゃんの熱のこと

唯に本田先生が言った言葉、先生のとった行動を……順をおって話した。

確かに、先生は唯を助けてくれたヒーローだけど……

なんだか笑って終われない話し。

沙羅ちゃんの気持ちを思うと………心が痛くなる。

もしかしたら、本田先生は……

単純に沙羅ちゃんを守ってあげたかっただけかもしれないけど……

やり方を間違った為に

お父さんから子育てのチャンスを奪うことになったかもしれないの。

本田先生が甘やかさなければ、お父さんは自分で看るのが無理だとしても

一生懸命に考えて、行動したはずだもん。

だって、それくらいの見通しをたてないと………親権は取れないよ。

おばあちゃんを頼るとか、会社と相談するとか………

ベビーシッターさんをつけるとか………何か自分で考えて

沙羅ちゃんの幸せを思ったと思う。

そう思うと………本田先生のとった行動は……自分勝手だよね。
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