キンダーガーテン三   ~それぞれの居場所に~
「唯ちゃん、大丈夫?!」

連絡を受けて、とんで帰ってくれた先生。

先生に抱きしめられると、急に安心から涙が止まらなくなった。

唯の頭を撫でながら、詳しい情報を洋介さんから聞いている。

「唯ちゃん、落ち着いた?
話せそうだったらでいいから……ちょっと聞いてもいい?
女の人は………知り合い?」

先生の言葉に、さっきの女の人を思い浮かべてみるけど……

見覚えがない。

首を振る唯の頭にキスをして

「恐かったら……思い出さなくていいからね。」と念を押して

「どんな感じか、言える?
伸長や顔立ち、年齢やその他特徴があれば何でも。」

暗い夜道だったけど、ちょうどコンビニ近くだったから

明かりが漏れて……ハッキリ見ることが出来た。

「髪型は……肩から15センチくらいの長さで、後ろで1つに括ってた。
顔立ちは……目がパッチリと大きくて鼻筋の通った美人さんだった。
外見の特徴は……それくらいだけど…………。
1つ、とっても大きなしるしがあったの。」

「「しるし??特徴じゃなくて??」」

思わずハモる、先生と洋介さん。

「うん。
……………………ブラウスの上に着ていた
ベストの左胸に付いてた社員バッチ。
………………………お父さんの会社の物だったの。
それが見えたら………急に恐くなって……………。」

お父さんは今、家族に戻る努力をしてくれている。

いくら子供だと笑われる唯でも…………それがどういう意味かは分かる。

お付き合いしていた女性と…………

お別れをして来るの。

さっきの彼女は………

お父さんとお付き合いしていた人。
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