キンダーガーテン三   ~それぞれの居場所に~
「何で言わなかったの!!」

商店街中に響きそうな………先生の怒鳴り声。

座る唯の向かいで、腕を組んでイライラしてる。

先生はもちろん、海晴ちゃんも彩ちゃんも…………コウ君ですら怒ってるの。

「泣いたってダメ!!
おまけにそんな状況で、コウの『送るよ』を断るって………。
襲って下さい!って言ってるようなもんだからね!!」

いつもは庇ってくれるコウ君まで………

「ホントに………何を考えてるんですか!
あのまま公園に連れ込まれてたら………大事だったんですよ!!
強引に連れて帰れば良かった。」って……

海晴ちゃんや彩ちゃんも………

いっぱいいっぱい怒ってて………………。

「まぁまぁ、唯ちゃんも反省してることだし………」と庇ってくれる洋介さんにも

「洋ちゃん、今は甘い顔をしたらダメだから。」と厳しい先生。

シュン。としてたら……

「心配して怒るのも分かるけど………
一番怖い思いをしたのは……唯ちゃんだからね。
これ以上怒って、怯えさせて…………傷つけていいの?」と

スゴく冷静に…………怒る洋介さん。

顔を上げると…………

なんとも言えない表情の人たち。

唯の考えの甘さが………またみんなを傷つけちゃった。

「……………………ごめんなさい…………。」

これだけ言うと…………また涙が溢れた。

片手で唯の頭を抱き寄せてくれる先生。

「唯ちゃん、ごめんね。」

「唯先生………。」って………

悪いのは唯なのに、みんなに気を使わせてる。

空気を変えてくれるのは、やっぱり洋介さんで………

「ハイハイ、とにかく無事だったんだから………乾杯しよう。
彩、ビール持って来て。
唯ちゃんにはカルピスね。」
< 122 / 149 >

この作品をシェア

pagetop