キンダーガーテン三   ~それぞれの居場所に~
タクシーでウチに帰ると………

「おかえり。」と笑顔で迎えてくれる尋ちゃん。

尋ちゃんの顔を見ると………

泣きたい心が消えていき、お姉ちゃんの顔が出来る。

先生が今日、彩ちゃんや他のメンバーじゃなく………

尋ちゃんを寄越したのは……この為なんだね。

自分のいないところで……泣かないように。

明日、先生が聞けるようになるまで我慢しなさいって………。

でもちゃんと逃げ道も用意してくれてて………

いつでもいいから電話しておいでって………。

優し過ぎる先生。

多分、唯の周りの人達は………唯を責めないと思う。

むしろ、同情してもっと優しくなるかも。

でもね………

もしも唯の考えた通りの人が犯人だったら…………

自分で自分が許せない。

沢山の人に迷惑をかけて……今まで通りに働けない。

犯人が捕まって欲しいのに………

捕まって欲しくない。

真実を知るのが怖い。

「お姉ちゃん、幼稚園で何かあった?」

お風呂からあがると、尋ちゃんが話しかけてきた。

「どうして??」

悟られないように、緊張が走る。

「和君からメールがきて『幼稚園の近くで不審者情報が学校に入ったから
二人とも気をつけて』って……
それに先生からも、『俺が帰るまで唯ちゃんをお願い』って言われたし……」

「そうなの。嫌がらせがあったから子供の安全を考えて休園になって……
先生は保護者会に説明に行ってるんだぁ」

「そう言うことかぁ~怖いね。」

尋ちゃんがウチと関わりがあるって……結びつけなかったから………

尋ちゃんの周りや………家には

この間の女の人は……現れてないってことだよね??

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