キンダーガーテン三   ~それぞれの居場所に~
「あのね………………」

観念して………唯が気になってる女の人のことを話したの。

ずっと背中を撫でてくれる先生。

先生の大切な幼稚園に迷惑をかけて………

大切な子供たちを不安にさせた原因かもしれないんだよ?

「ねぇ~唯ちゃん。
たとえ……この間の女の人が………お父さんと関係があったとしても……
唯ちゃんが悪い訳じゃないよ?
むしろ被害者でしょう?
幼稚園の嫌がらせが、そうであったとしても………唯ちゃんのせいではないよ。
唯ちゃんが頼んでやらせたら別だけど………そんなことあり得ないし………
唯ちゃんだって、ウチの先生でしょう?
子供たちや園に迷惑をかけられたって怒っても、自分を責めるのはおかしいよ?
唯ちゃんは、加害者の仲間じゃないでしょう?
被害者の仲間だよ。間違えないで。
………むしろ、謝るのは俺だから。洋ちゃんに怒られた意味が分かった。
俺は心配して唯ちゃんを怒ったけど……怒るべきじゃなかったんだ。
唯ちゃんの……不安を口にするチャンスを奪ってたんだよなぁ。
あの時怒らず話しを聞いていたら……
次の日からの嫌がらせで、あの人かもって不安を相談してたはずだから。
ごめん。」

先生はいつでも優しいね。

先生の言葉を丸々信じて……唯も被害者だとは思えないけど……。

少し心が軽くなったよ。

「ねぇ先生。お父さん、何か言ってた?」

この間先生がお父さんに連絡した時……

聞きたかったけど……怖くて聞けなかった。

先生があえて話さないってことは……聞かせたくないってことだから。

でもね、そうやって甘えて守られてばかりじゃダメだって思ったの。

自分のお家のことくらい………向き合おうって……。

まだ怖いけど……

側に先生やみんながいてくれるから。

だからあえて………言葉にしてみたの。

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