キンダーガーテン三   ~それぞれの居場所に~
「それで、これからの事はどうしますか?
女と子供の事は……俺達にはどうも出来ません。
お父さんしか解決出来ないので。
俺は………
これ以上尋が苦しんで泣く姿を見ているのは耐えられません。
もし可能だったら、このまま籍を入れて
俺が守りたいと思っています。」

いつもは照れ屋で優しい和也さんの、厳しい言葉。

和也さんにとって、尋ちゃんよりも大切な事なんてないんだね。

こんな時だけど………

尋ちゃんに和也さんがいて………ホントに良かったと思う。

和也さんにすがって泣く尋ちゃんは、本当に可愛い。

「お父さん。
和くんの言うように、僕達には解決することは出来ません。
一応、明日から二人は……友人のパン屋で仕事が終わるまで
過ごさせてもらう約束は取り付けました。
ですが、夢をもって大学に進んだ尋ちゃんと
仕事を頑張っている唯ちゃんを、いつまでも休ませて
隠れさせておく訳にはいかないので…………」

先生もお父さんの事情を知った上で、解決を求めて

私達を守ってくれる。

「その事だけど………
母さんと話し合い、別れる事にした。
唯、千尋…………………本当にすまない。」

そう言うと…………

お父さんの涙を初めて見た。

お父さんの話しによると…………

彼女と男女の関係も思いもないという。

けど、お父さんの心の中には部下を死なせた申し訳なさは拭えないと。

これ以上彼女を傷つけ、子供の幸せまで奪う事になってしまうと

自分には耐えられないって。

自分の家族を守る事が出来なかった自分だけど……

せめて、彼女と子供は守りたいと言ったの。
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