キンダーガーテン三   ~それぞれの居場所に~
車に乗ってシートベルトをつけると

「今日こそは、マンションでいいですか?」って笑いながらエンジンをかけた。

うなずく唯に「帰ろう。」と優しい声をかけてくれる。

「先生……何処にいたの?」

「うん?う~ん……車で待機させられてた。
オレ以上に唯ちゃんのことが分かってる四人だからね。
こうなることは、想定内だったみたいだよ。」

「そっかぁ~。……………結局、唯の気持ちは……何も話してないの。
………逃げないって……約束したのに…………。」

「それでいいんだよ。
別に、言葉にしなくても……自分から進もうとしただけで……
十分伝わったから。
オレのことも、彩先生のことも……大切にしたいって思ったから………
今日カラオケに行ったんでしょう?」

「うん。」

逃げるなって……

こう言うことだったんだね。

別れるって…先生にも彩ちゃんにも……失礼な事だったんだ。

見慣れた景色が広がった頃、車のブレーキがかかった。

車を降りて、玄関に行くと「鍵は?」って…。

カバンから…イチゴを出すと

「これを返してたら…………本気で怒ってた。」

本気で怒ってたら……どうなるんだろう??一瞬……ブルッと震えそうになっちゃった。

でもね……………

これだけは………返せない。

返したら……本当の終わりになっちゃうもん。………って……やっぱり甘えてるね。

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