キンダーガーテン三   ~それぞれの居場所に~
咲ちゃんのことを、思い出してちょっとだけ………拗ねてみたら

「ふぅ~ん。そんなこと、言うんだぁ~。」って

また、意地悪な声に戻っちゃったぁ~。

………もしかして…………不味い???

……って思ったけど「バカ唯。」って笑うだけで、安心した。

「ねぇ~唯ちゃん。………………キス………嫌だった?」

「…………………………………………………………………。」

その質問……ズルいよう。

本当に嫌だったら………今、ここに居ないもん。

でも…………怖かった。……………先生が………男の人に見えて…………

答えられない唯を……ソッと抱き寄せて

「…………ごめんね。
唯ちゃんの初めては、思い出になるようにって……思ってたのに。
別れるって言われたの………思った以上に、こたえてたみたい………。
自分のこと……もうちょっと、大人だと思ってたんだけどなぁ…………。
………………怖がらせて………ごめん。」

ねぇ~先生。

先生は………怒って感情をぶちまけてしまうくらい……心配してくれたの??

唯は…………先生の優しさに甘えて、守られて………本当にどうしようもないね。

おまけに、ヤキモチまで妬いて…………。

「怖かったけど………嬉しかった。」

唯の言葉にホッとした表情で「………良かった。」って…。

ファーストキスは、涙と一緒の……忘れられない思い出になっちゃった。
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