キンダーガーテン三   ~それぞれの居場所に~
リビングに入ると、ホンの数日なのに……懐かしく感じる。

唯をソファーに座らせると、お揃いのカップに……ミルクティー。

………………いつもと同じ……。

膝に座って………二人で過ごす時間が幸せ。

「………………先生…………ごめんなさい。
…………………………………………………ありがとう。」

もしも、先生が諦めて唯の手を離したら…………

こんな温もりは…………もう感じることが出来なかった。

沢山の人の優しさと………先生の愛情のおかげ。

「……………あぁ~。……………………癒される。」

後ろから……ギュッと抱きしめながら綴る言葉は………少し震えてた……。

もしかして………

唯が思ってる以上に………今回のことは、先生を不安にしたの?

抱きしめる腕にソッと手を添えると……

「唯ちゃん………………結婚………しようか…………。」って………………。

あれほど『待つよ』って言ってくれてた先生が……

もらした心の声………。

きっと…………これが先生の……本音なんだよね。

家のこと。

仕事のこと…………。

…………………彩ちゃんの……こと。

色んなことを思うと………素直に『うん』と………返事が出来ない。

…………でも………それって…………

一番大好きな先生よりも……………大切なことかなぁ~

今回………………意図的にそうした訳ではないけれど。

…………先生と……彩ちゃんを天秤にかけた………。

出した答えは………………………どちらも………選べない。

もちろん、今回のことは間違ってないと思ってる。

先生を苦しめたけど………

それでも……彩ちゃんの気持ちを守りたかったから。

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