キンダーガーテン三 ～それぞれの居場所に～

アタフタカップをキッチンに持って行く先生が可愛いくて

ニコニコしたまま自分の部屋に着替えを取りに行った。

ドアを開けると…………数日前と同じ部屋。……当たり前かぁ。

タオルを取りに、タンスに近づくと………ハートのフォトスタンド。

中には……浴衣姿の二人が……仲良く写ってた。

先生…………いつの間に………

きっと……

咲ちゃんのことで落ち込んで帰るだろうと……準備してくれたんだね。

先生の優しさは……本当にあちこちに散りばめられてて……

もしかしたら……気づけてないこともあるのかなぁ。

唯も………あんな人になりたい。

先生の傍に射たら………いつかなれるかな？

嬉しいはずなのに……涙がどんどん溢れてくる。

幸せなのに………幸せ過ぎて………せつなくなる。

この一年で……色んな感情を知ったよ。

ホンのちょっと前は………

"淋しい""嫌われてない？"って、マイナスなものでいっぱいだった。

でも今は………

"嬉しい""楽しい"は…もちろん。"好き""愛しい"……後は………

"大切"って思うことがいっぱい増えた。

その分……嫉妬やワガママな独占欲も…自分にあるって知ったけど……

…………涙も……いっぱい流すようになったなぁ～

小さい頃は…転んだり、怖かったりすると直ぐ泣いてた。

泣き虫唯ちゃんって……呼ばれてたもん。

それが……

いつの間にか………『笑ってないと！』って思うようになって……

一人にならないと………泣けなくなった。

でも今は………

誰に聞いても……『泣き虫』って答えられちゃう。

……………とっても…………楽になった。

重たい鎧を………脱いだみたい…………。

きっと………

『今のままでいいよ。』『一人じゃないからね！』って……

先生がいつも、言葉と気持ちで伝えてくれるから。

一人、床に座って……ポロポロ涙していたら

「泣くのはここって…言ったでしょう？」って先生に抱きしめられた。

「……………写真………ありがとう。」

「こんな事にも涙が出るんだねぇ。」

「嬉しくても………悲しくても、淋しくても……
涙が出るようになっちゃったぁ～」

「……………良かった。」

甘い先生に見守られて………良い夢が見られそうです。