キンダーガーテン三 ～それぞれの居場所に～

『いや～惜しかったねぇ～』

『もうちょっとだったのにぃ』

『でも、相変わらず唯ちゃんの泣き顔は可愛い！！』

『みんなあんなに頑張ったのに………おいしいところは
全部唯ちゃんだもんねぇ～』

『ビデオもカメラもバッチリ撮れたぁ！』

口々にリレーの感想を述べていく保護者達。

子供たちも

『唯先生頑張ったよねぇ～』

『やっぱり泣いちゃったね！』

『運動会の絵………ダンスを描こうって思ったけど……
やっぱりリレーにしようかなぁ～』って…

先生たちは

『やっぱりラストを唯ちゃんにして成功だったね！』

『お父さん達メロメロだもん！』

『先生だけだよ！イライラして"来年は元に戻す！！"って息巻いてるの。』

『彼氏にしたら、あの泣き顔をみんなが見てカメラにおさめるのは……
最高の屈辱だよね～』

『良いんじゃない？？
あのバカップルにフラれて涙した人間の恨みなんだもん！
今回のリレーなんて！』

『来年は、衣装もつけちゃおうかぁ！』って

やっぱり二人をオモチャにしてる。

『唯のアホ！……………泣くのはオレのところって言ったのに……』と

ブツブツ呟く先生と

『良かったぁ～！！！抜かされなくて～！』って

満面の笑みを浮かべる唯。

そう。

結果は…………ゴールテープギリギリで唯の勝利。

一周差をもらってギリギリって………とも思うけど………

やっぱり嬉しい！！

観客の歓声と駆け寄ってきた赤組のみんなを見たら…………号泣。

ポケットに入れてたハンカチをさりげなく渡してくれた先生。

涙を拭く頃には………………

ずーっと後ろに追いやられてた。