キンダーガーテン三   ~それぞれの居場所に~
3階のさっき来たカフェに逆戻り。

「ここでゆっくり考えよ」

どうやら、買い物リストや明日の段取りを話し合うみたい。

お兄さんなら先生の好きなものや、欲しいものも知ってるかな?

「あの………先生は………」

「悠君でしょう?」

「あっ。……………そうですね。
悠君は…お家では………どんな時に笑ってますか??」

楽しそうに笑ってるなら……その関連した物を贈ると喜ばれるかも!!

「う~ん。笑う…………かぁ~?
あんまり笑ってないかなぁ~。いつも怒ってばっかりだなぁ!」

「えっ!お兄さんの前で笑わないんですか??」

「拓人さん!
お兄さんは禁止ね。」

「あっ、はい。拓人さん。」

ここのお家の人って……みんな呼び方にこだわるんだなぁ~。

「家に来たら『悠君』と『拓人さん』………分かった?
悠の『嬉しそうな顔』と『悔しそうな顔』が………ダブルで楽しめる!
ラッキー!!
………………悠があんなに笑うのは、唯ちゃんの前だからじゃない?
家はもちろん、園でもそんなに笑顔は見せてないと思うよ。」

そう言えば………

始めの頃みんなが先生のこと……『クールでカッコイイ!』って言ってたなぁ。

…………そうそう!………園では怒ってばかりだよ!

まぁ~唯が一番怒らせてるんだけど………。

今は優しさが先だから、忘れてたなぁ~。

「そうですよね…………。私が一番怒らせてました。
先生は…………おこりんぼさんです。」

「プッ!おこりんぼさんって……。
唯ちゃんには、悠がそう見えるんだね。」

「お兄さ………じゃなくて………。
拓人さんにはどう見えるんですか??」

「う~ん……………。不器用で子供で………我慢強いかなぁ?
唯ちゃんと出逢って………
始めは頑張ろうとし過ぎて心配したけど……
今は、誰といるより悠らしいなぁ~って思うよ。
ガキらしくなって、お兄ちゃんは嬉しいんだよ!」

………………??

何だかよくわからないけど……先生が幸せなら良いかな。

……………ってダメじゃん!

「あっ、拓人さん。
唯と居て幸せそうじゃあダメなんです!
他の人と居て笑ってたら………プレゼントのヒントになるので………。」

「いいんだよ。
唯ちゃんと居て笑ってくれないと、俺たちの計画の意味がないからね。」

益々意味のわからないお兄さんの言葉に、戸惑っていたら

携帯のメールを確認したお兄さんが

「そろそろオッケーみたいだから、行こう!」って…

買うもの決めてないのにぃ~

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