言葉はいつも想いに足りない

~葵side~


分かってる。私にだって。
もうどうする事も出来ない。

部長と私とでは大切にしたい物が
違った。ただ、それだけだ。

でも、部長が毎日のように
新しい物件を見せてくれても
私はなかなか首を縦には
振れなかった。嫌だった。
離れたくなかった。

匠海の事は無視してくれればいい。
部長はそう言ってたけど
同じ家に住むあの子の事を
そうゆう風には思えなかった。
少しずつだけど部長のいない間に
話をするようにもなった。

部長の息子を。部長の大切な人を
蔑ろには出来なかった。
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