言葉はいつも想いに足りない
何と言えばいいのだろうか。
可哀想ともまた違う。
この感情をどう水無月に
伝えていいのか分からない。
葵「もううんざりで抜け出したくて
母には内緒で東京の大学を受けました。
父に土下座して必要な書類に
サインしてもらって奨学金で学費を
賄って、生活費はバイトで稼いで
寝る暇はなくても大変だとは
思いませんでした。むしろ、私は
初めて自由を知ったんです。
何か、すみません。長々と
こんな不幸話しちゃって。」
いよいよ、言葉を求められた。
それでも、やはり俺はまだ
水無月にかける言葉を
見つけられていない。