星空の下で
「はっきり皆本だってわかったのは、短冊を見たときだね」

「え?見ちゃったの?」

「偶然だよ。もし見なかったとしても、きっと話しかけて確認したと思うよ」

 み、見られちゃったんだ。

 名前だけでなく、その内容も。

『彼に思いを伝える勇気が出ますように』

 こんな形できっかけが降ってきてしまうなんて。

「・・・内容も見たよね?」

「見たんじゃなくて、偶然見えちゃったんだって。表向きに落ちてきたからね」

「・・・・・」

「あのときの、高校最後の七夕のときに、何て書いたのかって、覚えている?俺は覚えているよ。あの頃の願いはまだ、叶えられていないんだけど。やっと、叶えられるよ」

「え?」

「皆本が好きだよ。高校のときからずっと。俺ね、あのときの短冊にこう書いたんだ。『俺の思いが彼女に伝わりますように』って。それがやっと叶った」

 あの時、実は両思いだったんだ。

 それに気づかないままで。

「もっと早く、言ってくれればよかったのに」

「俺もそうしたかったさ。でもあの時は、皆本の友達が俺を好きで、みんながくっつけようとしていたから、言えなかったんだ」

 それは私も同じだ。

 友達が彼を好きだったから、自分は言えなくて。

「私たち、同じだったんだ」

「え?」

 今度は彼が驚く番だった。
< 5 / 7 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop