俺がこんなに好きなのは、お前だけ。


結果はカフェとダンスが同票数を集めた。

決選投票をするのかと思いきや、大志くんが「どっちもやるってのはどうかな?」と提案した。



「カフェを営業しながら時間を決めてダンスを披露する、ダンスカフェ……とか?」



顎に手を当てて、真剣に考えている様子。
その大志くんの意見に、クラスメイト全員が賛成した。


優等生な大志くんは、偽りの姿だと思っていたけれど、やっぱり本人の言うように違うのかもしれない。


どちらの大志くんも、大志くんに違いはない。


私にだけ見せてくれる無愛想な君も、クラスメイトの中心で笑う君も、どちらも優しさに溢れた人だ。


だからこそ、君の周りはいつだって笑った人たちで溢れている。


やることが決まって今日のところはお開きになった。衣装だったり、ダンス係だったり、カフェのメニュー考案係だったりと詳しい班分けは明日するとのこと。


文化祭かぁ……。楽しみだなぁ……。


この学校の文化祭って後夜祭あったよね、確か。体育館で軽音部のライブのあと、花火だっけ。
恋人がいる人は、好きな人と見たりするんだよね。


誘っても、いいのかな。



「変な顔してんな」

「わっ……!」



いきなり目の前に現れた大志くんに驚いて、思わず身をのけぞらせる。椅子がガタタッと音を立てた。その様子を見て「ひでぇな」と笑う。ひどいのは、どっちだ。



「そんなに俺のこと避けてえの?」

「ちがっ……驚いただけだし……っ」

「ふぅーん」



な、なにさ。その怪しむ顔は。


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