俺がこんなに好きなのは、お前だけ。
冷たい。表情も言葉も声も。目線も、態度も。
まるで"恋"が嫌いみたいだ。
でも、それでも……。
「私は、恋がしたいよ?」
全否定しないでほしい。
まるで恋が悪いことのように、粗悪なもののように言わないでほしい。
だって憧れなんだもん。
「そっか」
「うん」
「そろそろ終わる?俺やっぱりもう行かなきゃなんだけど」
「もう終わるよ。ごめんね、付き合わせちゃって。私のことは気にしないで、行っていいよ」
「うん。最後まで付き合えなくてごめん。行くわ」
席を立った大志くん。かばんを手にすると、さっさと教室を出て行ってしまった。
好印象だった彼から、恋についてマイナスな発言が出てきたことが、なぜかショックだった。
高校生っていったら男女問わずに恋愛に興味があるのが当たり前なのだとかってに思っていたのだけれど、違うのかもしれない。
すこし気になる存在になっていた大志くんが恋人のことを"飾り"だと言ったことに対してモヤモヤしてしょうがない。
そんなんじゃないのに。
でも自慢したくなっても、おかしくないと思う。
素敵な彼女や彼氏がいたら、自慢したくなっちゃうのはわかるもの。
そんな恋人と思い出をつくれば、誰かに話したくなるよ、きっと。
自慢したくて恋をしているわけじゃない。
恋をしているから、自慢したくなるのだと思うの。
そんなひよこが先か卵が先かみたいな話、心の中で繰り広げたって、大志くんには伝わらないんだろうけど。
モヤモヤが、だんだんイライラに変わってくる。
モテてる人は、私みたいな凡人とは感性が違うのかもしれないね。
好きになりそうだなんて、撤回する!
なんか、いけすかない!