俺がこんなに好きなのは、お前だけ。


鏡に映る自分の不細工な顔。ちゃんと冷やしてから寝ればよかった。



「行ってきまーす」



朝食を平らげて、家を出た。今日は髪を結ばなかった。そっちのほうが顔を隠せるかなと思ったからだ。目の腫れが引くまでは、誰にも顔を見られたくない。見せられない。特に、大志くんには。


でも、幻滅されたところで、私の恋の行方なんて、もう……。


自暴自棄になる思考回路に頭を振った。こんなんじゃ、いけない。マイナス思考ばかりで、よくない。


私はずっと憧れていた恋をするこどができたのだ。それで、それだけで、いいじゃないか。
ずっと好きな人ができなくて、苦しんでいたあの頃より、遥かに成長しているではないか。


たけど、私の心の面積は、恋をして間違いなく広がった。
それだけじゃ、満足できないぐらい心が大きくなっている。


隙間だらけで、満たされない。


どうして私はあの子より先に大志くんと出会えなかったんだろう?
あの子より先に私が出会っていたら、結末は変わっていたかもしれないのに。


運が悪い。こんなの、平等じゃない。


私があの子だったら、きっと、大志くんと別れる結末になんてさせなかった。
一度チャンスをもらえていたあの子が、羨ましくてしょうがない。



「…………」



ふと、立ち止まる。電車を降りて、学校までの道のりの途中。


……あれ?

私、こんなに性格悪かったっけ?


話したこともないあの子のことが、もう嫌い。
ライバルだということが目に見えているからだろうか。


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