俺がこんなに好きなのは、お前だけ。
その日の放課後は、ひとりで教室を出た。
結衣羽はデートするのだと張り切って先に帰ってしまったし、大志くんは相変わらずクラスメイトと話していたので久しぶりにひとりで帰ることにした。
校門を通り抜けたとき、「あっ、あの……!」といきなり誰かに声をかけられて驚いて立ち止まった。
自分にかけられた声なのかわからなかったのだけれど、あまりの声の大きさに身体がビクッと反応したし、振り返らないわけにはいかない。
振り返った先には、昨日同様に、美夜ちゃんがそこにはいた。
「昨日大志と一緒にいた子、だよね……?」
「そうですけど……」
まさか、今日も大志くんのことを待ち伏せしていたとか……?
ぐっと顔にチカラが入る。怪訝そうな顔をしてしまっていることは自分でもわかっていた。でも、それをやめようと無理に笑うことはしなかった。
彼女のことをよく思っていないことを隠したいとは思ったいなかったからだ。
「あの、よかったら、いまから少し時間くれない?」
「えっ?」
「あなたと、話がしたいの」
少しうつむきながら、上目遣いで私のことを見る彼女の仕草は見た目と同じでとても可愛らしい。計算されているのかは、彼女の素性をなにもしらないので推し測れない。
長い髪は真っ黒で、サラサラと秋風になびいている、私が憧れてやまないストレート。
首や手足は細く、顔も小さい。そのどれもが透き通ってしまうのではないかと思うほど、白い。