俺がこんなに好きなのは、お前だけ。


どうして泣くの……?

振ったのは、恋を終わらせたのは、美夜ちゃんなんだよね……?



「大志はさ、中学のとき人気者で……付き合い始めてから私、女の子からいじめられるようになって……それで耐えられなくなって別れを切り出したの」


「…………」


「本当は、別れたくなんて、なかった……!」



心から叫ぶように、彼女は泣いた。
別れたくなかったのに、いじめのせいで別れを選ばされた彼女の気持ちを考えると、私のほうも辛くなる。


そして、突然好きな女の子から別れを告げられた大志くんのことを考えると、泣きたくなる。


想い合っていたふたりが別れたのは、どちらかの感情がなくなったからとか、破綻したからじゃなかったんだ。


……なんだ、そういうことか。


大志くんが恋を嫌いになった理由って、これか。
突然終わってしまった恋に"本気"なんてないのだと、見限ってしまったんだね。



「でもごめんね。関係ないのにいきなりこんなこと言われたって、きっとももかちゃんも戸惑うよね」



昨日の大志くんの様子を鑑みると、大志くんの心の中にはまだ、美夜ちゃんがいるのかもしれない。


恋をしたくないと言っていた彼の心は、ずっと変わらず美夜ちゃんを想い続けていたのかもしれない。だから、新しい恋をしたくないのだと、恋を毛嫌いしていたのかもしれない。恋を、寄せ付けないようにしていたのかもしれない。


わからないけれど、そんな気がしてならない。
だから、私と付き合うことも躊躇っていたのではないかな。


大志くんにとって、私って、邪魔な存在……かな。




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