俺がこんなに好きなのは、お前だけ。



私の心臓まで痛んだ。その冷たい声と言葉。それを放ったのは大志くんだった。


告白をした女の子は、きっと、ものすごい勇気を出して告白したに違いないのに。


うざいだなんて、そんなの、あんまりじゃないか?



「こっちが優しく断ってるのにさぁ、空気読めないわけ?いい加減引き下がってくんない?」

「……っ……」

「あー、泣かないでくれる?俺、なんも悪いことしてないよね?」



大志くんの言葉で女の子が泣いていることを知る。大きく身を乗り出してふたりの様子をうかがうが、よく見えない。ただ、女の子の肩が震えてるのが遠目からも確認できた。


可哀想。せっかく好きな人に想いを伝えたのに、その好きな人からきつい言葉を浴びせられるなんて、きっと考えてすらなかっただろうに。


深いため息を吐いた大志くんがなにもかもめんどくさそうに、そしてイライラしたように頭をデタラメにかく。



「ごめんなさい……っ」



吐き捨てるようにそう言って、女の子が勢いよくこちらに向かって走ってきた。
あわてて身を隠すけれど、猛スピードで私の横を通り過ぎて行った彼女は、どうやら俯いていて、私の存在には気づかなかったようだ。危なかった。


ほっと胸をなでおろしていると「おい」と後ろから低い声がして、吐いていた息をあわてて吸いなおした。


壊れかけたロボットのように関節を不器用に動かしながら、後ろを振り返った。
そしたら案の定、そこには不機嫌な表情をした大志くんが目を細めて立っていた。



「ア、アハ、アハハッ。こ、こんなところで奇遇ですねぇ?た、大志くん」

「お前、なにしてんの?」

「へ?」


お、お前……?


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