俺がこんなに好きなのは、お前だけ。
胸の痛みが引かない。
女の子の勇気ある告白を、無碍にする男なんて願い下げだって、私だってそう思っていたはずだ。
佐野大志のこと、人の気持ちがわからない最低な人だと思っていた。
違う……んだ。
ただ単に、誰かを好きになったことがないだけ……なんだ。私と同じ。
もしかしたら佐野大志はとてつもなく不器用な人なのかもしれない。
恋を、信じられないだけ……?
「……っ……」
ふとそのとき。
心臓の音が変わった。嫌に響く低音から、高くなった気がした。
あれ、私、うれしい……のかな?いま。
自分のなかにある感情がわからない。さっきからとても忙しい。ころころ表情を変えて、温度や色までもがどんどん移ろいでいく。
「ほら、続きやらねぇーと。いつまても終わらねぇーぞ」
「わ、わかってるよ」
「ほんと、かわいくねえやつ」
頬杖をついた彼が毒づいて、微笑んだ。その小悪魔な笑みに、きっと女の子は惚れていくのだろう。
ムカつくけど、かっこいいのは、認めざるを得ない。