俺がこんなに好きなのは、お前だけ。
芽生えたのは……
春から夏へと季節は変わろうとしている。
朝目覚めて、寝ぼけ眼で準備を整え、登校した。
快晴で、ところどころにある雲は綺麗な白。
同じ制服を着た人たちに紛れて登校ピークの校門を抜けた。
結衣羽と下駄箱でばったり会って「おはよう」と挨拶を交わしたときだった。
下駄箱内のうわぐつ上に、手紙が置いてあったことに気づいたのは。
「はっ?」
「えっ、ラブレター!?」
「そ、そんなわけ……っ、誰かの下駄箱と間違ったんじゃない!?」
となりで興奮気味に声を荒げた親友をなだめる。自分に言い聞かせるといった意味もあった。
口の中にたまった唾を飲み込んで、手紙を手に取る。
そして、開いた。
【昨日の放課後、佐野大志くんと一緒にいるところを見ました。どんな関係ですか?】
書かれてあった短文。読み終えても、理解ができなかった。
なに、これ……。
「うわ、なにこれ……気味が悪い」
「男の子の字、だよね?」
だってお世辞にも綺麗だとは言えない。筆圧が強くて、カクカクした字をしている。
どこにでもある真っ白な便箋の中身は、よく見るとノートの切れ端が使われていた。
切り取り方が雑だったのか、右隅が丸くなっている。
ほんと、気味が悪い。誰がこんなこと書いて私の下駄箱に入れたの?
昨日私と大志くんが一緒にいたことを見ていたってことだよね?
「ストーカー?だったりして……」
「え、やだ、脅さないでよ」
ストーカーって、そんな、まさか。
私に?
ふたりして困り果て、その手紙を凝視していたとき、「なにしてんの?」と声がかかった。振り向くとそこにいたのは大志くんだった。