俺がこんなに好きなのは、お前だけ。
そんな大志くんをぼうっと見つめていると「ごめん、無駄話が過ぎた」と、重かったゴミ袋を軽々と持ち、歩いて行ってしまった。
スタイルいいなあと、ぼんやり後ろ姿を見つめていると、
「なになに、恋の予感?」
と、いきなり真横から結衣羽が顔を出すものだから、驚いて心臓が止まるかと思った。
「へっ⁉︎」
「いいじゃん。佐野大志。モテモテだよ〜」
「知ってるよ。けど大志くんは……」
「なによ?」
む、無理だよ、大志くんは。
あんなにモテモテな男の子に恋したって、叶いっこない。
どれだけのライバルがいると思ってるの?
甘い顔に、爽やかな笑顔。成績優秀で優等生な彼は、まさに王道ヒーローなのだろうけど。
あの人のヒロインが私に務まるとは思えないし、あんなモテ男がモブな私を彼女に選ぶはずないもん。
素敵な人と恋に落ちたいとは常々思っているけれど、あの人は手の届かない存在すぎて、眼中になかった。
「叶わない恋はじめたって同じじゃん」
「うーん、まあ確かに、恋は無理やりするもんじゃないしね」
「うん……」
「恋って気づいたら好きになってるもんだよ。好きになったら、相手がどんな人であろうと関係ないもん」
「そう、なんだ……」
わからないな。恋をしたことがない私には。
結衣羽は、そんな恋をしたことがあるんだろうか?
それとも、今、結衣羽には彼氏がいるけれど、体験談だったりするのだろうか?
「好きになろうしてなるもんじゃないのよ。自然となってるものだから焦ったって一緒」
「はーい」
「さっ、早く終わらせて帰ろう」
「うん」
笑いかけてくれる結衣羽に私も笑顔を返して残りの作業に没頭した。