俺がこんなに好きなのは、お前だけ。
首をかしげた私に「ちょっと来て」と言われて立ち上がった。
何人かのクラスメイトたちが何事?と投げられた視線を感じたが、気にせず彼のもとへ歩いた。
「ごめん、英語の教科書貸してくれない?」
「えっ?いいけど……」
どうして私?
佐藤くん、ほかに友達いるはずなのに……。
「持ってくるから、ちょっと待ってて」
「うん。さんきゅーな」
佐藤くんに一言告げて、自分の席へ向かう。
引き出しから英語の教科書を取り出すと、再び佐藤くんのもとへ歩いた。
その途中、大志くんと目が合った気がしたのだけれど、私は止まることなく佐藤くんのところへ向かった。
目があった瞬間、心臓がドキッとした。
「マジごめん。終わったら返すから」
「いいよ、急がなくて。私たち今日英語はラストだから」
「助かる。それとさ、よかったら明日、みんなで来週に向けてテスト勉強するんだけど、小田さんも来ない?」
「えっ?」
「俺たちのクラスのやつら数人とやる予定なんだけど、小田さん都合悪い?」
佐藤くんたちのクラスの人たちと、勉強会?
私、親しい人いないなかでやるの?
それって、最高に居心地悪くないでしょうか?
なんと言って断っていいかわからず苦笑いで「そうだなぁ……」と、頬を人差し指で掻いていると「小田さんの友達もよかったら連れてきていいから」と、なにかを察したのか、佐藤くんがそう言った。