俺がこんなに好きなのは、お前だけ。
結衣羽を連れて行けば……まあ、いいか。
「うん、わかった。じゃあ行こう……かな」
「そっか!よかったぁ!」
「誘ってくれてありがとうね」
「おう。じゃあまた後で」
「うん」
クラスに帰って行った佐藤くんを見送って、振り返ると、バチ!と、また大志くんと目があって驚く。
その顔が教室では見せないような、あまりに冷たい表情だったから。
みんなの前でそんな顔していていいの?
その心配をよそに、大志くんは一瞬で表情を変え、またいつも通りの笑顔に戻る。
もしかしたら、見間違えたのかもしれない。
そう思いながら席に戻るとホームルームの時間がやってきて、いつも通りの一日が始まった。
先生の業務的な話を聞きながら、いろんなことを考える。
ただこうして席に着いて先生の話を聞いたり、将来なんの役に立つのかわからない授業を受けて、定期的にあるテストの点数に評価をつけられる、つまらない日常にいる。それが私たち学生。
友達には恵まれた。あとは恋だけなんだ。
私の初恋は、いつになるんだろう……。
窓の外の空は青く晴れ渡っている。春と夏の中間。水色は、青春を想像させる。
神さま早く、私に初恋をください。
「1限目から体育って憂鬱じゃない?」
「そうだね」
ホームルームが終わって、制服を脱いだ。あらかじめ着ていた体操服姿になった私は結衣羽のところへ行くと、ふたりで体育館に向かう。
「そういえば結衣羽、明日の放課後空いてる?」
「明日?明日はデートだよ」
「えっ!」