俺がこんなに好きなのは、お前だけ。
今更だけど私、とんでもない人に初恋しちゃったかもしれない。
止まらない思考。深まるたびに、手の届かない人を好きになった実感だけが身に染みる。
それに……。
──「お前は俺を好きになんな」
この言葉は相当重い。枷になっているのは間違いない。
誰からも好きになってほしくないといった発言だったし、きっと大志くんも私からの好意なんて嬉しくないだろうし。
告白なんてしたら絶対に嫌われるんだろうな。する気は毛頭ないけれど。
できるわけない。上手くいくわけもないし。
ううん、いまはこんなこと考えていたくない。だって、ようやく望んでいた初めての恋をすることができたのだから。
いまはその幸せだけに浸っていたい。芽生えた気持ちにだけ、喜びを感じたい。
付き合いたいとか、大志くんにも私のことを好きになってもらいたいとか、そんな大それたことはいまは考えられない。
胸いっぱいのこの気持ちが、あるだけで、それだけで……。
いい、もん。満足だもん。
大志くんに彼女ができたら嫌だけど、不幸中の幸いみたいなもので、大志くんは恋が嫌いだ。全面的に信用していないから、それはないと思う。
だからこそ、私の恋も叶うこともないのだけど。
ああ、もう、だから、いまはそんなこも考えていたくないんだってば。
「小田さん」
名前を呼ばれて顔をあげる。呼んだのは、大志くんだった。
「大丈夫?具合いでも悪いの?」