俺がこんなに好きなのは、お前だけ。
恋のチカラって、やっぱりすごいな。
「おはよー」
教室に足を踏み入れると、見慣れたクラスメイトが出迎えた。夏休みで焼けたのか、男子たちの肌が焦げている。
一緒に花火大会へ行ったメンツと挨拶を交わし、バーベキューをしたとき、「佐野とふたりでどこ行ったんだよ」とか「付き合ってんの?」とか、たくさん質問されたことを思い出した。
大志くんのことを狙っていると宣言していた女の子も興味津々といった様子だったし、私とふたりで抜けようと言った男の子も近くにいた。
けれど私は「そんなんじゃないよ」とだけ告げた。
話を聞いたみんなは不服そうな顔をしていたし、散々嘘だと疑われたけれど、事実だからそれ以上言えることはなかった。
席について、教室の中を見回す。
大志くんの姿は……まだない。
そのことにホッとしている自分と、いつ来るのかなとドキドキしている自分がいて、自分でもよくわからない。
会いたいけど、会いたくないのだ。
緊張して心臓が痛いし、会ったら、また私のなかで気持ちが弾けて悶えてしまう。
でもここは学校だから、いつものようにベッドの上で足をばたつかせることもできないし、思いきりニヤけることもできない。
「あ、大志!おはよう!」
男の子の声で、ついにそのときが来たのだと悟った。
ドクンッと、一度大きく軋んだ心臓がそのまま大きく大胆に動き続ける。
席に座ったまま、教室の入り口のほうを見た。