恋ってやつを教えてやるよ。

……やっぱりな。



「あんた、またやってこなかったの!?これで一体何度目!?いい加減自分でやってきなさいよ!!」


「そんなこと言わずにぃぃ!俺には美恋しかいないんだ!!美恋最高!!美恋可愛い!!みーこみこみこみこ」


「わかった。わかったから、とりあえず一発ビンタさせて?」



ったく!調子いいんだから!



「もぉ!仕方ないな!今日のカラオケ、ジロ達も強制参加だからね!しかも、私の分の料金はジロの奢り!」


「えー!?たかが宿題にカラオケは高くない!?」


「文句があるなら、そのノート返して」


「嘘です!ごめんなさい!!美恋様の仰せのままに!!」



必死にノートを写し始めるジロに、呆れながらもクスッと笑いが込み上げてくる。



私ってば、なんだかんだジロに甘いな……。



お調子者のジロのことだから、さっきの話のどこまでが本心かはわからない。


それでも、やっぱりちょっと嬉しいと思ってしまう。


私もジロと同じことを思ってるから。


ジロといると楽だし面白いし、何を考えずとも一緒にいられる。


10年間こうしてジロといて、楽しくないって思ったことなんて一度もない。


それって、かなりすごいことだと思うんだ。
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