恋ってやつを教えてやるよ。
それからも、何かと美恋を気にかけて、大事にしてるのは、はたから見ていてもよくわかった。
だから、コイツがはなから美恋を傷つけるとわかってて志願したとは思えない。
てことは、裕也はその“好き”に応えられるだけの気持ちをすでに持ち合わせてるってことか?
え……?それってもしかして……。
裕也は、美恋を……?
「どうしたの?ジロ。ぼーっとして」
自分の席にもつかず、裕也の席の隣で立ち尽くす俺の顔を、裕也は心配そうに覗き込んでくる。
裕也の前の席に、まだ美恋は来ていない。
恐らく委員会が長引いてるんだろう。
「裕也は……美恋のことが好きなのか?」
「……え?」
思わず心の声が漏れてしまい、“しまった!”と口をつぐんだ。
何突拍子もないこと言ってんだ俺!
いくらなんでも直球過ぎだろ!
それに、裕也が美恋を好きだなんてそんなことあるわけない。
そんな素振り一度も……。
そこまで考えて、ゴクリと唾を飲み込む。
今までの裕也の美恋に対する行動、視線。
それらは本当にただの“友達”に向けられたものだっただろうか。
背中を冷たい汗が伝う。
本当に、そんな素振り一度もなかったか……?