恋ってやつを教えてやるよ。
「あーつっかれたぁぁぁぁ」
そう言いながら、うんざりした顔で入ってきたのは美恋だった。
「もー!本のニオイって、ほんっとお腹痛くなる!!あれ何なの!?……って、ジロと高峰くん、変な顔してどうしたの?」
俺と裕也を交互に見て、コテンと首を傾げる美恋は、たった今自分が話題に上がってたなんて思ってもいないんだろう。
のんきな顔しやがって……。
「何でもねぇ……」
「どうもしてないよ。それより美恋ちゃん。委員会お疲れ様」
「本当疲れた〜!ただ図書室にいるってだけで疲れた〜!」
「ははっ!何で図書委員にしたの」
裕也と美恋が、楽しそうに話し始める。
ザワザワと煩わしい胸の違和感は、収まるどころか激しさを増していく。
美恋と裕也の仲が良いのなんて、今に始まったことじゃないのに……。
無性に感じる疎外感。
楽しそうな二人を横目に、心にぽっかり穴が空いたような妙な虚無感の答えを、俺はずっと探してた。
*
「ジロいるー?」
ノック音とほぼ同時に部屋のドアが開き、俺はベッドの上で寝転がりながら読んでいた漫画から視線を移した。