恋ってやつを教えてやるよ。
「お前、ちょっとここ座れ」
体を起こし、ベッドサイドの床を指さすと「えー?今いいとこなんだけど」と嫌そうな顔をする美恋。
「いいから来い」
「何なのよー」
数分後。
────ブオーー。
俺はベッドサイドに座り、美恋を両足の間に座らせ、美恋の濡れた髪にドライヤーをあてていた。
「ほぅ〜極楽じゃ。苦しゅうないぞ。ジロ」
「苦しゅうないじゃねぇ!髪くらいちゃんと乾かせよな!濡れたまま寝ると髪傷むんだぞ!?」
「ジロって、下手すりゃ私より女子力高いよね」
ちげーよ。
お前の恋活のために、これでも色々調べたんだ。
少しでも女子力が上がれば、お前が恋したいって思えるような良い男が現れる可能性も上がるかと思って。
でももしかしたら、そんなの必要なかったのかもしれない。
裕也に美恋のことが好きだと断言されて、今思えばなるほどって思うことがたくさんあった。
裕也は確かに誰にでも優しいけど、美恋には一際優しい顔を向けてたこと。
ふとした時、美恋を目で追ってたこと。
他の女子にはしないのに、美恋の頭はよく撫でること。