恋ってやつを教えてやるよ。
美恋が女子力なんかなくったって、裕也はずっと美恋のことが好きだったんだと思う。
灯台もと暗しって、こういうことだよな。
美恋の絶好の恋の相手は、こんなにもすぐ近くにいたんだ。
美恋の柔らかいロングヘアーに指を通しながら、丁寧にドライヤーをかけていく。
しっかり中まで乾かすために、髪を横に流しながらドライヤーをあてると、時折美恋の白いうなじが見えた。
「……最近、どう?」
ボソッとそう言えば、ドライヤーの音で聞き取れなかったらしい。
「え?何!?」
と美恋に聞き返された。
聞こえないなら聞こえないで良かったんだけど……。
聞きたい気持ちと、なぜか聞きたくない気持ちがせめぎ合ってる。
だけど、前者の気持ちの方が勝っていたらしく、俺はさっきより声のボリュームを上げて、もう一度わかりやすく美恋に問いかけた。
「最近、裕也とはどう?」
「高峰くん?どうって何が?」
何がって一つしかないだろが。
「裕也に恋、できそうか?」
「あぁ、その話」
「あぁってお前。恋の相手は決まったんだ。次の恋活ミッションは何か、わかってるだろ?」
「……わかってるよ」