恋ってやつを教えてやるよ。
毎日一緒にいて、毎日一緒に笑って、毎日一緒にバカやって。
10年間、恋する暇なんてないくらいジロとばかり一緒にいたのに、飽きるどころか、まだまだ楽しいことが待ってる気がする。
友達にしても、恋人にしても、ジロ以上に居心地の良い相手なんているとは思えない。
多少他の女子達に遅れをとっている感は否めないけど、好きな人も、恋人も、今はいらないって思うんだ。
今はジロといるのが一番楽しいもん。
「美恋と元木は、まだ恋愛なんかより友達とつるんでる方が楽しい〜ってお年頃かぁ」
私達のやりとりを見ていた幸が、感慨深気にそう言う。
「だけど、どちらかが恋をしたら、きっと変わるだろうね」
「え?」
「その考え方も、二人の関係も」
幸のその言葉に、ドキッとする。
私達の関係が変わる……?
そんなこと、今まで考えたこともなかった。
何で恋をすると私達の関係が変わるのか……幸の言葉の意味が全くわからない。
「ないない!俺達、10年間これだぞ?今更関係が変わるわけねーよ!な!美恋」
「う、うん!ないない!そもそも私達、恋なんかしないし!」
「そうだそうだ!」