恋ってやつを教えてやるよ。
幸がいる方と反対側から、羨ましそうな女子の声が聞こえてきて、反射的にそちらに顔を向けた。
「穂花のマニキュア良い色だよねー!」
「えへへ。ありがとう!でも、学校あるのに落とし忘れちゃったから、先生達に隠すの大変なの」
「大丈夫大丈夫!ナチュラルな色だしバレないよ!」
穂花……とは、茅野さんの下の名前だ。
茅野さんは少し照れくさそうに、自身の爪を友達に見せている。
さすがだなぁ……。
女子力高い子って、爪の先まで綺麗なんだ。
色合いも控えめで、茅野さんらしくてとっても良く似合ってる。
ささくれだらけの自分の手が急に恥ずかしくなってきて、誰が見てるわけでもないのにギュッと手を握った。
そうこうしてるうちに、男子のコートで試合終了のホイッスルが鳴り響く。
すると、試合待ちをしていた男子達が、ゾロゾロと移動をし始めた。
その中には、高峰くん本田くん、そしてジロの姿もある。
三人とも同じチームで、これから試合なのかな?
「キャー!元木くん頑張れーー!!」
「高峰くーーん!ファイトー!!」
相変わらず、すごい人気だな二人とも。