恋ってやつを教えてやるよ。

それから間もなくして、試合終了のホイッスルが鳴った。


ジロと高峰くんのチームは圧勝。


黄色い声援が体育館内を震わせる。



ジロは荒い呼吸で肩を弾ませながら、シャツの裾で汗を拭っている。



その時。


ふとジロと視線が交わった気がした。


でもそれは、ほんの一瞬。


ううん。ひょっとしたら私の気のせいかもしれない。


だって、もうジロの視線は私のすぐそばにいる茅野さんの方を向いている。


茅野さんがジロに手を振って、ジロもそれに振り返して。



何だこれ。


すごく……嫌だ。





あぁ。


そっか……。



不安な理由がわかった気がした。


それはきっと、私が“ただの幼なじみ”だからだ。


ただの幼なじみが“好きな子”に勝てっこない。


好きな人ができようと、お互い誰と付き合おうと、私達は変わらないって、ずっとそう思ってたけど。


そう信じようとしてたけど。




……そんなの、はなから無理だったんだ。





「危ないっっ!!!」



そんな叫び声が聞こえると同時に、凄まじい衝撃が私の脳を揺らした。


視界に激しい火花が散る。
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