恋ってやつを教えてやるよ。
それからぐるりと視界が一転して、明かりを消したみたいに目の前が真っ暗になった。
「美恋っ!!!」
遠くで、ジロの声がする。
……私ってば、なんてバカなんだろう。
ジロに好きな子が出来た時点で、ジロの隣に私の居場所なんてなかったのに。
ただの幼なじみなんかより、好きな子に隣にいてほしい。
そう思うのが当たり前なのに。
私はずっと……どんなことがあっても、自分がジロの一番だと思ってた。
だけど、それは違う。
茅野さんと上手くいけば、きっとジロも私なんかといる時間より茅野さんとの時間が大切になる。
きっと、私なんて二の次になる。
本当は、私はそれが一番怖かった。
本当はずっとずっと、私がジロの一番近くにいる存在でありたかった。
だけど、今更そんなの気づいたってもう遅い。
多分もう私達は、元の関係には戻れない。
────
───
『ついてこないでって言ってるでしょ!ジロ!』
『ヤダ』
あれ?
何だろこれ?
幼い頃の私とジロがいる。
『連れ戻そうとしても無駄だからね!絶対家になんて帰らない!』
あ。そっか。
これ、昔私がお母さんと喧嘩して、家出しようとした時の記憶だ。