恋ってやつを教えてやるよ。
「つか、何でこんな言い訳みたいになってんだ……。普通に考えて、俺がお前に変なことなんかするわけねーだろ……」
そう言って視線を外し、ジロは前髪をくしゃりとかき上げた。
……まぁ。だよね。
そりゃそうだ。
わかってるし。
私達は、ただの幼なじみなんだから。
当たり前じゃん。
……別に、そんな言葉で傷ついたりしないけどさ。
でも、それならそれで。
───『……お前は、俺のなんだよ』
何であんなこと言ったりしたのよ……。
「首の後ろ……痛いけどね」
嘘だけど。
全然痛くなんかないけど、そう言ってジロを困らせてやりたくなる。
「言ってしまえば、首に噛みつくとか、アレだって十分に変なことだと思いますけど」
言うだけ言って毛布にくるまり、ジロに背を向けて寝転がれば。
「……悪かったよ」
そう謝る、ジロのちょっぴり困った声。
「俺も、何であんなことしたか正直よくわかんねぇ。……けど、さすがにあれはなかった。……ごめん」
……よくわからずやったんかい。
とは言え、こんなふうに素直に謝られると調子が狂う。
今日一日、口なんてきいてやらないつもりだったのに、こうして意地張ってるのがばからしくなってきちゃうじゃない。