恋ってやつを教えてやるよ。

「つか、何でこんな言い訳みたいになってんだ……。普通に考えて、俺がお前に変なことなんかするわけねーだろ……」



そう言って視線を外し、ジロは前髪をくしゃりとかき上げた。



……まぁ。だよね。


そりゃそうだ。


わかってるし。


私達は、ただの幼なじみなんだから。


当たり前じゃん。


……別に、そんな言葉で傷ついたりしないけどさ。


でも、それならそれで。



───『……お前は、俺のなんだよ』



何であんなこと言ったりしたのよ……。




「首の後ろ……痛いけどね」



嘘だけど。


全然痛くなんかないけど、そう言ってジロを困らせてやりたくなる。



「言ってしまえば、首に噛みつくとか、アレだって十分に変なことだと思いますけど」



言うだけ言って毛布にくるまり、ジロに背を向けて寝転がれば。



「……悪かったよ」



そう謝る、ジロのちょっぴり困った声。



「俺も、何であんなことしたか正直よくわかんねぇ。……けど、さすがにあれはなかった。……ごめん」



……よくわからずやったんかい。



とは言え、こんなふうに素直に謝られると調子が狂う。


今日一日、口なんてきいてやらないつもりだったのに、こうして意地張ってるのがばからしくなってきちゃうじゃない。
< 120 / 152 >

この作品をシェア

pagetop