恋ってやつを教えてやるよ。

「ふーん。あれだけ恋活恋活言ってた元木が、急に何も言ってこなくなったなんて不思議だね。まるで、次のミッションに進むのをためらってるみたい」


「?」


「そりゃそうか。次のミッションは、”恋をしましょう”一択だもんねぇ」



何やらニヤニヤしながら、一人納得してる幸。



”恋をしましょう”……か。


確かに前、ジロもそう言ってた。


つまり、ジロからGOサインが出たら、私は高峰くんに恋する努力をしなくちゃならない。


それでもしも高峰くんを好きになることができれば、私と高峰くんは両想い。


ジロと茅野さんと一緒。


ようやく、ジロと同じ場所に立てるわけだ。


それなのに、なぜかちっとも嬉しくないなぁ。


同じ場所に立てて、きっとジロと同じ景色が見えるはずなのに、何だか寂しい。


まるで、お互い別々の世界から一つの景色を見ようとしているような……。


ジロに追いつきたくて、ジロと今までみたいにいたくて恋活することを選んだけど。



私、本当にこれであってたのかな……?



「まぁ、近々文化祭もあるし、嫌でも恋が動き出すでしょうよ」


「ん?文化祭と恋がなんの関係があるの?」
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